M淑女M紳士の皆様ご機嫌いかが?
とても蒸し暑い日々ですね。 蝉の鳴き声やお盆の時期が来ると、毎年訪れていた北陸を思い出します。そして涼む為の工夫や古くからの文化を通し、日本の繊細な美意識に驚かされていました。 祖父が作った大きな庭の池をすいすいと泳ぐ、色とりどりの鯉達と涼やかな風鈴の音。流れる水のせせらぎや鈴の高い澄んだ音色が火照った体の暑さを引いていく。視覚と聴覚が刺激され体感とは異なる次元へ連れて行かれるよう。 少し足を伸ばして金沢を訪れれば古い武家屋敷や街並みがあり、そこには粋な古人の愉しみが見て取れました。 私が特に興味を惹かれたのは綺麗な木目の桐の箱。少し緑がかった色味のそれは、木々のうねりからまるで立ち上がったかのように佇んでいました。 しかし何も空いてない。まさしくどっしり構えた重厚な四角形そのもの。 異質な美しさに惹かれましたが、その箱はなんだろうと不思議に思いました。 横にあった札を見ると聲桶の二文字。その屋敷では鶯を鳥籠に入れた後に桐箱に入れ鳴き声を響鳴させ風情を愉しんでいたと知り、瞬く間に光景が頭に浮かびました。 果たして閉じ込められた鶯はどんな気持ちだったのでしょう。暗く、いつ出られるか分からない空間に閉ざされ、それはそれは哀しく泣いていたのではないでしょうか。哀愁を含んだその聲は人々の心に、更に美しく心を震わせるような響きだったのでしょう。 残忍であるけれど、そうしなければ得られない快楽、愉しみといった人の欲を、趣きあるその箱からひしひしと感じました。人間は時に欲望の上に冷淡。非情な事とは分かっているのに何故か心奪われてしまう。 私も貴方達の聲桶を作って、日々その鳴き声を嗜みたいものですね。とても贅沢で残酷な遊びを。 Comments are closed.
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AuthorSadistic Dominatrix, Archives
March 2021
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